はじめに
株取引をしていると、「機関投資家が買っているらしい」「あの株は仕手が入っている」といった話を耳にすることがあります。彼らは一体何者で、私たちの株取引にどのような影響を与えるのでしょうか?
この記事では、市場の大きなプレイヤーである「機関投資家」と、時に市場を大きく動かす「仕手」について、その正体と彼らの動きが株価にどう影響するかを解説します。そして、私たち個人投資家が、彼らの動きにどう立ち向かうべきか、具体的な立ち回り方をお伝えします。
市場の巨人「機関投資家」とは?
機関投資家とは、銀行、証券会社、生命保険会社、年金基金、ヘッジファンドなど、顧客から預かった巨額の資金を運用するプロの投資家集団のことです。彼らは、個人投資家とは比較にならないほどの資金力と情報力、分析力を持っています。
彼らの特徴
- 巨額の資金力: 個人投資家とは桁違いの資金を動かすため、彼らの売買は個別の株価だけでなく、市場全体にも大きな影響を与えることがあります。
- 情報力・分析力: 専門のアナリストやエコノミストを抱え、企業の財務状況、業界の動向、マクロ経済指標などを徹底的に分析します。個人ではアクセスできないような情報も持っている場合があります。
- 長期的な視点: 基本的には企業の成長性やファンダメンタルズ(企業の基礎的な経済状況)を重視した長期投資が多い傾向にあります。顧客の資産を運用しているため、短期的な投機よりも安定したリターンを目指します。
市場への影響
機関投資家が特定の銘柄を大量に買い始めると、その銘柄の株価は上昇トレンドに入りやすくなります。逆に、大量に売り始めると、株価は下落トレンドに転じることがあります。決算発表後など、彼らが一斉に動くことで株価が大きく変動することがあるため、その動向は常に注目されています。
市場をかく乱する「仕手」とは?
仕手とは、特定の銘柄の株価を意図的に吊り上げたり、引き下げたりして、その株価の変動から利益を得ようとする集団や個人のことです。彼らの行為は、一般的に「相場操縦」と呼ばれ、金融商品取引法で禁止されている違法行為です。
彼らの特徴
- 短期的な視点: 仕手は、企業の成長性などには興味がなく、株価の変動そのものから短期的に大きな利益を得ることを目的とします。
- 情報操作・風説の流布: 意図的に誤った情報を流したり、インターネットの掲示板などで「買い煽り」や「売り煽り」を行ったりして、個人投資家の心理を操作しようとすることがあります。
- 出来高の急増: 仕手が入った銘柄は、不自然なほど出来高が急増する傾向があります。これは、彼らが大量の売買を繰り返して株価を操作しているためです。
市場への影響と注意点
仕手が入った銘柄は、短期間で異常な値動きをすることがあります。株価が急騰したかと思えば、仕手が利益を確定するために一斉に売り抜けることで、株価が暴落し、高値掴みした個人投資家が大きな損失を被るリスクが非常に高いです。
仕手株には絶対に手を出してはいけません。 一時的に利益が出たとしても、最終的には大きな損失を被る可能性が高く、また違法行為に加担してしまうリスクもあります。
個人投資家は彼らとどう向き合うべきか?
機関投資家や仕手の存在を知ることは重要ですが、彼らの動きに一喜一憂したり、安易に追随したりすることは危険です。私たち個人投資家は、彼らと賢く向き合う必要があります。
機関投資家の動きをどう見るか
機関投資家の動向を完全に予測することは難しいですが、彼らの売買動向を示すレポートや、信用残高(個人投資家の買い残・売り残)などの指標を参考にすることはできます。ただし、これらの情報はあくまで参考情報として捉え、盲信しないことが重要です。
仕手株に手を出してはいけない理由
前述の通り、仕手株は非常に危険です。株価が不自然に吊り上げられた後、仕手が売り抜けると株価は暴落し、高値掴みした個人投資家が大損する可能性が高いです。根拠のない情報や、過度な煽りには絶対に乗らないようにしましょう。
個人投資家の立ち回り方
- 基本に忠実な投資: 企業のファンダメンタルズ分析、分散投資、損切りルールなど、基本的な投資戦略を徹底することが最も重要です。地道な分析と計画的な投資こそが、個人投資家が市場で生き残るための道です。
- 情報リテラシーの向上: インターネット上の情報には玉石混交です。情報の真偽を見極める力を養い、信頼できる情報源から情報を得るようにしましょう。
- 自分の頭で考える: 他人の意見や市場の雰囲気に流されず、自分なりの投資判断基準を持つことが大切です。なぜその株を買うのか、なぜ売るのか、常に明確な理由を持って取引に臨みましょう。
まとめ
機関投資家は市場の大きな流れを作る存在であり、その動向は参考になります。しかし、仕手は短期的な利益を狙い、個人投資家を巻き込むリスクがあるため、絶対に手を出してはいけません。
私たち個人投資家は、市場の大きな動きに惑わされず、基本に忠実な投資を心がけることが、成功への近道です。
自分の投資ルールを守り、冷静な判断で市場と向き合いましょう。そうすれば、あなたは市場の波に乗りこなし、着実に資産を増やしていくことができるはずです。
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